2015年Computer Measurement Group AA Michelson Awardはワシントン大学Raj Jain教授が受賞
AA Michelson Awardとは
Computer Measurement GroupのAA Michelson Awardとは、コンピュータの計測とパフォーマンスの評価の分野で優れた功績のあった方に捧げられる賞です。
Computer Measurement Group
Computer Measurement Groupは、日本ではあまり知られていないのですが、1974年に設立された、歴史の長い世界的なパフォーマンスに関する非営利団体です。
主たる目的は、
- パフォーマンスの最大化のための既存システムのパフォーマンス評価に関する事項
- 既存システムの拡張や新システムの設計の際に、リーズナブルなコストで十分なパフォーマンスを引き出すためにどのようなリソースが必要であるかを評価するキャパシティマネジメントに関する事項
の情報やベストプラクティスの共有、議論などです。
Webに限らず、パフォーマンスの計測や改善や、キャパシティプランニングの仕事をされている方であれば、メンバーになることをお勧めします。垂涎の資料がどっさりとあります。
Albert Abraham Michelson
Albert Abraham Michelson(アルバート・エイブラハム・マイケルソン、1852年12月19日 ― 1931年5月9日)は、プロイセン王国ポーゼン州(現在のポーランド)の出身で、アメリカの物理学者で、光の速度を計測することを技術的に確立したことで知られています。1907年には、光の研究により、ノーベル物理学賞を受賞しています。

このAlbert Abraham Michelsonの業績に因んで、AA Michelson Awardはパフォーマンス計測・評価に関する賞として設立されたわけです。
過去のAA Michelson Award受賞者
今までのAA Michelson Award受賞者は、以下のとおりです。
| 年 | 受賞者 |
|---|---|
| 2015 | Raj Jain |
| 2014 | Nalini Elkins |
| 2013 | Lloyd G. Williams, Ph.D. |
| 2012 | Gary M. King |
| 2011 | Adam Grummitt |
| 2010 | Michael Salsburg, Ph.D. |
| 2009 | Bruce McNutt |
| 2008 | Dr. Neil J. Gunther |
| 2007 | Adrian Cockcroft |
| 2006 | Steve Samson |
| 2005 | Mark Friedman |
| 2004 | Dr. Annie W. Shum |
| 2003 | Dr. Alan Jay Smith |
| 2002 | Dr. T. Leo Lo |
| 2001 | Dr. Daniel Menasce |
| 2000 | Ray Wicks |
| 1999 | Cheryl Watson |
| 1998 | Bernard Pierce |
| 1997 | George Dodson |
| 1996 | David R. Morley |
| 1995 | Aubrey G. Chernick |
| 1994 | Dr. Arnold Allen |
| 1993 | Dr. Yonathan Bard |
| 1992 | Dr. Bernie Domanski |
| 1991 | J. W. Mullen |
| 1990 | Mario Morino |
| 1987 | Dr. Domenico Ferrari |
| 1986 | Dr. Connie U. Smith |
| 1985 | Dr. Mani Chandy |
| 1984 | Dr. H. Pat Artis |
| 1983 | Phillip C. Howard |
| 1982 | Dr. H. W. Barry Merrill |
| 1981 | Donald R. Deese |
| 1980 | David J. Schumacher |
| 1979 | Dr. Jeffrey P. Buzen |
| 1978 | C. Dudley Warner |
| 1976 | Phillip J. Kiviat |
| 1975 | Dr. Thomas E. Bell |
| 1974 | Kenneth W. Kolence |
Raj Jain教授の功績
今回、2015年のAA Michelson Awardを受賞された、ワシントン大学のRaj Jain教授は、1991年に刊行された、パフォーマンス計測と分析の基本書となっている"The Art of Computer Systems Performance Analysis Techniques for Experimental Design, Measurement, Simulation, and Modeling"、2003年に刊行された、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ大学のMahbub Hassan上級講師との共著"High Performance TCP/IP Networking"、2010年に刊行された"Quality of Service Architectures for Wireless Networks: Performance Metrics and Management"などを執筆されています。
特に、"The Art of Computer Systems Performance Analysis: Techniques for Experimental Design, Measurement, Simulation, and Modeling"は、ワシントン大学のComputer Scienceで、パフォーマンス計測・分析の教科書としても20年以上使われています。
この本の副題に書いてある"Experimental Design"というのが、よく私がパフォーマンス計測で大事だよと書いてる「実験計画法」の英語での表記です。
近日中に、この本の改訂版が発売されるので、パフォーマンス関係のお仕事されている方であれば、今すぐ予約してみてください。91年の初版でも、十分に素晴らしい内容ですけどね。
ワシントン大学の資料
ワシントン大学で、この本を使って行われている授業について、資料が公開されています。
授業で使われているスライドを見ることができます。
また、ちょっと古いですが、2007年度の授業の動画も観ることができます。(スライドと音声で構成されている動画です。)